夏の甲子園目指して挑んだ第92回全国高校野球選手権・長野大会 準々決勝。
場所は松本市営球場。長野日大対松本工業
一回表、長野日大の攻撃。2死満塁、走者一掃のタイムリー二塁打を放つ、捕手・佐藤。
松本工業、プロ注目の柿田投手を打ち崩し4点を先制。
柿田投手の立ち上がりを叩いた。
その裏の回を0点に抑え、続く二回表、長野日大の攻撃。
得点圏にランナーを進めながら、1死二、三塁の好機に追加点を奪えなかった。
直後の二回裏、長野日大の守備。
2死、ランナー二、三塁の場面。
松本工業、1番、上原のショートゴロを一塁に送球エラー。
一塁手もショートバンドするボールを前に落す事ができなかった。
更に 7回裏、2死一塁、4番・柿田がライト前二塁打で試合を振り出しに戻す。
延長12回、投手・加藤の「絶対に負けられない」という執念がスタンドにいる自分にも伝わった。
12回、エラーで決勝点を与え、2連覇の夢は断たれた。
3時間8分の死闘は予想外のサヨナラ・エラーで決着した。
延長12回を投げ合った二人。
柿田投手は、8回辺りからスライダーが抜けるようになり、延長戦に入ると右手・中指がつる様になっていたらしい。
試合が決まった瞬間、「勝ったというより、終わったという気持ちの方が強かった」とコメントしていた。
涙をぬぐいながら、ベンチ前に帰る日大ナイン。
三年間の高校野球が幕を閉じた。
泣き崩れる選手の中で、一人気丈にグランドを見つめる、加藤君が印象的だった。
試合が決まった瞬間しばらくマウンドで崩れ込んだ加藤だったが、気力を振り絞る様に立ち上がりベンチに向かおうと二三歩、歩き出した後、同じくその場を離れようとしなかった二塁手・小林に気付き、 彼の元へ駆け寄り、笑顔で声を掛け、肩に手をかけて励ましていた姿が忘れられない。
加藤自身、気力、体力も限界だったはずだ。
輝いた今日に感謝と、惜しみなく続く拍手を
燃え尽きた僕らが、今抱く誇りこそ持つべき必然。
いつか今日が過去に変わり
「今」に負けそうになっても
僕たちは思い出すだろう
情熱に染まった日々を
心から、お疲れさまでした。
心から、ありがとう。