トヨタがF1から撤退した。
経済不況から車離れが加速する。
小学生のころ図書館でくるま図鑑を見るのが楽しかった。
同じページを何回見ても大きい外車に【飽きる】という感覚はなかった。
本の中でしか見ることの出来ないキャデラックやリンカーン。
〝分厚いドア〟
〝迫力満点のラジエタ―グリル〟
脳裏に焼きつくすように見入った。
家ではコルベットやトランザムといったアメ車が載っている雑誌をよく見ていた。
子供ながらに『頑張れば200万ぐらいのトランザムは買えそうだ』
などと真剣に妄想していた。
それに拍車をかけるように到来したスーパーカーブーム。
親に連れて行ってもらったスーパーカーショー。
雑誌でしか見たことのないマシーンがずらりと並んでいた。
中でも目を引くのは“ランボルギーニカウンタック”だった。
〝地を這うようなスタイリング〟
〝ぶっといタイヤ〟
〝羽の様なガルウイング〟
本物を見ていることに興奮していた。
その時だった。
係員の様な男の人が運転席に座りキーをまわした。
『キュルルルル ヴォ―ン!』
その強烈さに失神寸前だった。
〝鳴り響く重低音〟
〝軽快なエンジン音〟
【憧れていたすべてを感じていた】
自分にとって車は憧れであり目標になった。
『いつか自分も所有したい・・・』
いや、所有する人物に憧れていたのかもしれない。
あれから30年。
グローバルであるがゆえに抜けきれない経済不況。
キャッシュフローで考えれば車は負債そのものなのかも知れない。
しかし、自分にとって車の存在は大きい。
よりグレードの高い車を目指すことは自己啓発にもつながるところがある。
週末に車を洗う事で満たされる充実感と爽快感。
自分にとっての癒しの時間である。