最後に校歌を歌う事ができませんでした。
【準決勝】 長野日大1-2松本第一
【撮影:iphone 4S】
スタンドで泣き崩れる選手達に胸を締め付けられ、しばらくこの場から離れる事ができませんでした。
劣勢の展開に、涙を袖で拭きながら必死になって応援する彼らの姿を忘れる事はありません。
この三年間、一回も公式戦に出られなかった選手がいます。
練習試合ですら打席に立てずに終わってしまった選手もいます。
県内外から甲子園を目指す選手が集まる屈指の強豪校。実力の世界である事は承知の上です。
自分のせがれもベンチに入る事はできませんでした。
これまでの個人の成績から大方予想できた結果です。
20人のベンチ入りメンバー発表があった日の夜、せがれから「話があるから聞いて」と声をかけられました。
「残念だけどベンチには入れなかった・・・」
小、中、高と約9年間のほとんどの時間を野球に費やせた事への感謝の気持ちを、緊張気味にゆっくりと語ってくれました。
朝夕の送り迎え、道具の購入、親なりのアドバイス。
自分の野球によって色々なイベントを我慢せざるを得なかった妹への配慮の気持ち。
試合に使ってもらえない悔しさから「やめたい」と思った胸の内。
言葉にする事が出来なかった今までの様々な想いをすべて語ってくれました。
「今日、監督にベンチ入りメンバーのサポート役に使ってもらえる様、お願いしてきた」
後輩にポジションを譲り、ノッカーとして少しでもチームに貢献したいとメンバーから外れた数人で相談した答えだったという。
「自分」
よりも
「チーム」 の為に。
そして、すべてが終わってしまったかの様に話す彼が
最後に口にした言葉が
「絶対、勝って甲子園に行きたい」
「勝って監督、コーチを胴上げしたい」
野球を続けさせて良かったと初めて思えた瞬間だった。
我々の世代には無かった父母会が三位一体となって存在する高校野球。
自分も含め、チームよりも我が子を優先してしまう親の集団は子供側からすると厄介な存在なのかもしれません。
野球は指導者と選手達の為の聖地。保護者には見えない心の会話があるはずです。
むやみに踏み入る事だけは絶対にしてはいけない事と誓ってきました。
【ミーティング後、記念撮影】
監督から最後の言葉をかけられ、その後全員、笑顔で記念撮影する事が出来ました。
気持ちを切り替える精神力は野球で鍛えられた感覚でしょうか。
彼らの表情にはやり切った爽快感すら感じられました。
全力の笑顔でカメラに映ってます。
明日からのはじまりの為に。